音声言語医学
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純粋失読における漢字・仮名音読の検討 :
―経時的変化を併せて―
中村 京子竹中 愛子河内 十郎
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キーワード: 純粋失読, 漢字, 仮名, 頻度, 画数
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1991 年 32 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

純粋失読の1自験例において, 漢字と仮名の音読に影響を及ぼす要因を経時的に検討するために, 116字の漢字および71字の高頻度漢字と, 清音, 濁・半濁音の平仮名71字を用い, 使用頻度と画数の面から分析して次の結果を得た.
(1) 発症後1ヵ月時, 単純比較を行った場合は仮名は漢字よりも良好であった.漢字の頻度と画数を統制すると, 高頻度で非常に画数の少ない漢字は仮名との差がなかった. (2) 発症後6ヵ月時には, 漢字, 仮名ともに1ヵ月時に比較して有意に成績が改善した.単純比較ではやはり漢字より仮名が良好であったが, 高頻度漢字は画数に関係なく仮名との差がなかった.また, ある程度頻度が低下しても少画数漢字は仮名と差がなく良好であった. (3) 漢字は, 頻度の効果が大きく, 画数に関しては頻度との相乗効果がみられた. (4) 仮名は発症後1ヵ月, 6ヵ月時ともに, 画数, 清音, 濁・半濁音などの文字の属性の効果はみられなかった.

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