音声言語医学
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改訂版随意運動発達検査の精神遅滞児への適用の試み
池田 由紀江佐藤 朋子
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1991 年 32 巻 2 号 p. 170-177

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抄録

田中 (1989) による随意運動発達検査を精神発達遅滞児に適用し, 精神発達遅滞児の運動発達特徴を明らかにすることを目的とした.
結果は次の通りであうた.随意運動発達検査得点とCA, MAとの相関係数はそれぞれ0.174, 0.746であり, 随意運動発達検査ではMAが高いものほど得点が高いことが明らかとなった.このことは, 精神遅滞児では随意運動発達は生活年齢よりも精神発達年齢が深くかかわっていることを示している.つぎに, MAを基準に4群に分類しすべての課題の通過率を求め標準化と同じ90%基準に基づいて精神遅滞児の特徴を検討した.いずれの課題においてもMAの上昇にともなって通過率が上昇していることが認められた.しかし, 手指の随意運動では精神遅滞児では健常児の通過基準年齢より大幅に遅れており, 健常児の基準年齢が4歳以上である項目では精神遅滞児ではMAが7歳以上になってようやく90%の基準に達した.顔面口腔の領域は手指の領域よりもさらに困難な課題が多く, 躯幹・上下肢では片足だち (開眼, 閉眼) や片足で跳ぶなどの平衡感覚を要する課題にとくに遅れがみられた.

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