音声言語医学
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聴覚障害乳幼児の教育・療育のための臨床研修の実態
広田 栄子田中 美郷
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1991 年 32 巻 3 号 p. 291-298

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抄録

過去に当科で研修した研修生 (第1群) と全国聾学校, 難聴幼児通園施設の専門職員 (第2群) を対象として聴覚障害幼児の指導における臨床技術の研修の現状とニーズについて調査した.前者では臨床経験と研修内容の関係を検討し, 後者では新任者と現任者の研修の相違点について, また, 聾学校と通園施設における研修体制の違いについて検討した.その結果, 1) 現行の聴覚言語障害の専門課程を修了後にも臨床研修の要望が高く, 2) 初年度と臨床経験3年目以降の再研修の要望を得た.3) 新任者研修の内容については聴覚障害児教育の基礎的領域, 現任者については補聴器適合, 重複する障害, 発達段階の理解など症例の個別的な問題についての研修が必要とされていた.4) 研修期間は短期または数日の研究会参加が多く, 聾学校では地域での研修制度や長期研修の試みがあった.聴覚障害児の指導の質の向上のためには卒後研修の意義は大きく, 今後一.層の充実が期待される.

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