音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
失語症者におけるコミュニケーション補助手段の有効性について
―コミュニケーションノートの活用を中心に―
小嶋 知幸宇野 彰加藤 正弘
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 32 巻 4 号 p. 360-370

詳細
抄録

22例の失語症者に対して, 実用的なコミュニケーション補助手段として, 日常生活上重要性が高いと考えられる事物の写真, 絵, 文字をカテゴリー別に貼付したノート (以下コミュニケーションノート) を作成し, 活用の状況を調査, 検討した.その結果, 1.コミュニケーションノートを自発的に活用するためには, 知的機能, コミュニケーションへの積極性, 社会的関心, コミュニケーション環境などの条件を良好に満たしている必要がある, 2.ノートは, 比較的発症初期から実用的なコミュニケーション補助手段となりうる, 3.ノートが有効でない話題もあり, 話題に応じたコミュニケーション手段の使い分けが必要である, 4.ノートの活用に際しては, 患者のみならず, 日常生活上患者と身近に関わる家族や介護者を含めた総合的な指導が必要である, と考えられた.

著者関連情報
© 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top