乳幼児期早期から当科にて聴覚口話法で指導した感音性難聴児82例を対象として, 小学校就学時にWISC, WISC-R, WPPSI知能検査, 読書能力, 語音聴取能, 発語明瞭度について評価した.被検児の聴力は60~115dBで, 当科にて1982~1992年の間に指導を行った.
その結果, 1) 症例の87%は言語性IQ80以上を示した.動作性IQと比べて言語性IQが等しいか, または言語性IQが動作性IQよりよい症例は全体の67%であった.90dB以上の高度例においても同様に良好な傾向を認めた.2) 読書能力では, 小学校1年2学期以上の能力を示したものは71%を占めた.3) 語音明瞭度検査, 発語明瞭度について, 聴力が高度になると障害が重度化した.全82例中81例は普通小学校に入学し, 当科における聴覚口話法の指導システムの有効性が示唆された.