音声言語医学
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聴覚障害児における早期からの聴覚口話法による言語指導の実際とその成果
広田 栄子
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1993 年 34 巻 3 号 p. 264-272

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抄録

乳幼児期早期から当科にて聴覚口話法で指導した感音性難聴児82例を対象として, 小学校就学時にWISC, WISC-R, WPPSI知能検査, 読書能力, 語音聴取能, 発語明瞭度について評価した.被検児の聴力は60~115dBで, 当科にて1982~1992年の間に指導を行った.
その結果, 1) 症例の87%は言語性IQ80以上を示した.動作性IQと比べて言語性IQが等しいか, または言語性IQが動作性IQよりよい症例は全体の67%であった.90dB以上の高度例においても同様に良好な傾向を認めた.2) 読書能力では, 小学校1年2学期以上の能力を示したものは71%を占めた.3) 語音明瞭度検査, 発語明瞭度について, 聴力が高度になると障害が重度化した.全82例中81例は普通小学校に入学し, 当科における聴覚口話法の指導システムの有効性が示唆された.

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