音声言語医学
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難聴児の早期言語指導の方法を省みて
―重複障害児の場合―
玉井 ふみ加我 君孝
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1993 年 34 巻 3 号 p. 273-279

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抄録

補聴器装用後聴性行動の発達が認められた, 難聴を伴う重複障害児15例の言語発達を評価して, 日常のコミュニケーションや指導法について検討した.対象児は補聴器装用後3年以上経過し, 養護学校, 聾学校, または普通小学校に在籍していた.補聴器は11例が常用し, 日常生活で用いるコミュニケーションメディアは, 前言語的コミュニケーション3例, 主に身振り記号5例, 音声言語と身振り記号を併用3例, 主に音声言語4例であった.身振り記号と音声言語を含む言語記号の表出が認められた13例のうち10例で発語がみられた.聴覚言語発達は, 初期の発声・聴性行動にとどまる症例, 助詞を用いた文の理解・表出が可能な症例, 重度の運動障害のため聴覚受容面と表出面に差のある症例など各症例の障害の種類や程度に応じて異なっていた.重複障害児では早期に補聴器装用による聴覚活用を可能にしたうえで, 個々の症例の原疾患や合併症, 発達段階, 行動特徴にあわせたコミュニケーション手段の活用や教育が重要と考えられた.

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© 日本音声言語医学会
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