口腔癌術後患者の会話能力の評価方法を検討するために, 患者15例に対して100音節発語明瞭度および会話明瞭度検査を行い, それぞれについて口腔外科医 (医局員) , 言語治療士 (ST) , 歯学部学生 (一般成人) を聴取者として比較検討した.また, 同時に患者の自覚的了解度について調査を行った.その結果は以下の通りである.
1.聴取者別発語明瞭度の平均正答率はSTが最高で, 医局員, 一般成人の順であった.
2.聴取者別会話明瞭度の平均は一般成人よりも医局員およびSTが良好であった.
3.会話明瞭度の判定では一般成人および中重度群の医局員で検者間の差が認められた.
4.発語明瞭度と会話明瞭度との関連ではSTにおいて最も相関が高かった.
5.会話明瞭度と患者の自覚的了解度の関連ではSTで一致率が高く, 一般成人では低い値を示した.