音声言語医学
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脳磁図による言語知覚の研究
山本 智矢
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1994 年 35 巻 3 号 p. 289-294

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抄録

37チャンネルSQUID装置を用い, 聴性誘発磁気反応を解析した.純音刺激 (1kHz) では, 聴覚野で潜時60ms (P60) , 100ms (N100) , 200ms (P200) が記録されるが, N100では記録側と対側耳刺激の場合は同側耳刺激の場合より潜時が12ms短く, これは皮質―皮質伝導の遅延の差によると考えた.また, 純音についても左側優位が示唆された.
母音/a/, /i/, /u/, /o/に対する反応波形は各母音によって異なっていた.また各母音に対するN100の電流源の位置は異なっており, 個人差が大きかった.2母音を180ms間隔で提示しても, 独立したP60とN100が認められた.
聴覚野に傷害がある症例では, 反応潜時の延長, 波形の不整や消失が認められた.
これらのことから, SQUIDは言語機帯の解析に有用であり, 臨床応用も有望であることが解った.

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© 日本音声言語医学会
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