音声言語医学
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甲状軟骨形成術の一工夫とその発声機能
岩田 重信高須 昭彦竹内 健二岩田 義弘戸田 均加藤 隆一
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1995 年 36 巻 2 号 p. 228-234

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抄録

甲状軟骨翼に作った窓枠の断面に固定するミゾ付挿入シリコン片を作製し, これを甲状軟骨形成術1型の声帯内方移動に応用した.この手術は, NLA麻酔下に局所麻酔にて行うことで, 術中患者に声を出させ, 患者の満足度を知ることのみならず, 術者もその音声改善の効果を判定できる.甲状軟骨翼の開窓孔を通して, 麻痺声帯を正中方向に圧迫移動させ, ミゾ付シリコン片を挿入固定し, 声の改善の程度を確認できる.この手術の前後で発声機能検査を施行し, その改善の程度を調べた結果, 甲状軟骨形成術 (I型) は, 正中位と副正中位固定症例に有効であり, 固定用のミゾを持ったシリコン片は, 長期にわたり移動を認めず, 良好な発声機能を保持できた.術後の発声機能パラメータの変動は, 麻痺固定位に関係なく, 術前後で声門下圧はあまり変化せず, 呼気流率と声門下パワーの低下, 声門抵抗と喉頭効率の上昇を認めた.

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© 日本音声言語医学会
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