37 巻 (1996) 2 号 p. 190-195
パーキンソン病 (PA) 患者の構音障害に対する遅延聴覚フィードバック (DAF) の効果について検討した.構音障害を伴うPA患者5症例 (Yahr II-IV, 発話明瞭度1~3) に長文の普通音読・DAF負荷による音読を施行し, 1) 聴覚印象評価2) 発話速度の測定3) 音響分析を行い比較した.DAF負荷によって1) 聴覚印象評価の発話明瞭度の比較では, 構音障害重度の症例で1~2段階の改善が認められた.発話特性の比較では4症例に改善がみられ, 共通して改善が認められたのは発話速度と声の質に関する項目であった.2) 全症例に発話速度の低下がみられた.3) 音響分析では母音のホルマントパタンの明瞭性に改善がみられた.以上の結果からDAFはPA患者の構音障害の特徴である発話速度の速さを軽減することが明らかになった.また, 発話速度が速くfreezingのみられる症例では, 発話速度の低下に伴いfreezingが改善する可能性が示唆された.