音声言語医学
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声帯白色病変・早期癌に対する音声外科の現状と将来
倉富 勇一郎井之口 昭山下 弘之岩元 正広小宮山 荘太郎
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1996 年 37 巻 2 号 p. 241-246

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抄録

声帯白色病変・早期癌に対する音声外科―喉頭顕微鏡下手術の現状について述べた.術前にはストロボスコピーでの声帯振動の観察が必須であり, また, 術前後の音声の評価のため, 嗄声の聴覚心理的評価, MPTの測定とともに音声検査を行っておくことが望ましい.喉頭顕微鏡下手術では, 病変の異型の程度, 悪性度の正確な病理診断のために, 十分大きな生検標本を採取する必要がある.治療としては上皮内病変では声帯靱帯が露出する深さまでのCO2レーザーによる蒸散を行い, 浸潤癌 (早期癌) ではsafety marginをとったレーザー切除か放射線治療が行われている.将来像として, 上皮内病変に対する新たな音声改善手術方法の開発や, 前癌病変からの癌化の過程に関する生化学的, 分子生物学的研究の進展についても言及した.

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© 日本音声言語医学会
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