われわれは, 小児人工内耳4症例 (言語習得前失聴学童, 言語習得後失聴学童各2例) を対象に人工内耳装着学童への援助の重要性を検討した.言語習得前失聴学童では, 人と話す機会を増やすため, 普通校への編入を勧めた.言語習得後失聴学童では, 中途失聴という障害を両親が受容するまでのカウンセリングが有効であった.これら4症例に共通点として, 生活の中心である家庭と学校との連携の必要性があった.人工内耳による聴力障害の実質的改善には, 人工内耳装着候補者に対する術前術後における全体的な援助体制が不可欠であり, これに関わるスペシャリストによるチームアプローチの組織化が望まれる.