音声言語医学
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聴覚障害児の就学時の構文能力
加藤 敏江荒尾 はるみ
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1996 年 37 巻 4 号 p. 413-419

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抄録

聴覚障害児の統語の獲得は, 一般的に遅れるといわれている.聴覚障害児が, 就学時までに, どの程度の構文能力を獲得することが望ましいか, 言語能力との関連性から検討した.対象は, 就学児55名と, 就学後, 約10年間, 普通学級にインテグレートしている高校生6名の, 二つのグループの感音難聴児である.検査は, 失語症構文検査の幼児版とWISCあるいはWISC-Rを用いた.その結果, 次のような知見を得た.
1) 就学時の構文能力と言語性IQは, 高い相関が認められた.
2) 聴覚障害児の構文の獲得には, 細かい階層性があった.
3) 就学時には, 少なくとも, 動作の主体が文頭の主語になる可逆文の, 意味役割と格助詞が同定できる構文能力の獲得が必要であろう.

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© 日本音声言語医学会
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