37 巻 (1996) 4 号 p. 443-454
3歳の早発性吃音男児 (2歳代で発吃) 16名を対象に, 言語発達に関する情報についての質問紙と面接をその母親に実施するとともにITPA言語学習能力診断検査を実施.吃音重症度は“Scale for rating severity of stuttering”を用いて3名の言語障害の専門家が30分の観察により評定し, 1~7であった.健常児群と比較すると初語と二語文の出現時期では正常発達を示したが, 対象児は言語発達良好群と言語発達不良群の2群に分けられた.後者は7名であり, かなり高い比率であった.ITPAの下位検査の粗点を健常児群と比較すると有意な差はなかったが, 下位検査の評価点や個人内差を分析すると, 自動水準の文法構成と聴覚配列記憶, 表象水準の言語表現 (いずれも聴覚・音声回路による) が低い傾向がみられた.言語発達良好群と言語発達不良群では, PLQと聴覚受容の評価点に有意差があった.