音声言語医学
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著しい舌癖を有する口蓋化構音の1治験例
―特に筋機能療法を応用した/s/音の構音訓練について―
遠藤 由美子鈴木 規子山下 夕香里今井 智子松田 千春山鹿 高義道 健一
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1997 年 38 巻 1 号 p. 11-19

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抄録

著しい舌癖を有する構音障害の訓練に, 筋機能療法 (以下, MFT) を応用した舌運動訓練を適用し良好な結果を得たので報告する.
症例は10歳男児で, 発音時に舌背を挙上し舌尖を全く使用せず, 口蓋化構音を示した.また発音時以外では安静時, 嚥下時において舌癖が顕著に認められた.
方法: 訓練はエレクトロパラトグラフィーを応用した視覚的訓練方法を用いて/s/音の訓練を行い, 基礎訓練に加えてMFTを応用した4種類の舌運動訓練を行った.また, それぞれの訓練に訓練レベルを設定し, 訓練過程を評価した.
結果: 従来の基礎訓練では異常な舌運動様式が除去できなかったが, MFTを応用した舌運動訓練を適用したところ, 舌運動様式が改善され, 短期間で/s/音が習得された.
以上の結果から, MFTを応用した構音訓練は, 著しい舌癖を有する構音障害の治療において有用であることが示唆された.

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