音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
運動障害性構音障害症例の鼻咽腔ファイバースコープ所見
―口蓋裂症例, 健常例との比較―
今富 摂子河原 明子出世 富久子岡崎 恵子加藤 正子大久保 文雄角分 徳芳大澤 富美子
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 38 巻 1 号 p. 20-28

詳細
抄録

運動障害性構音障害症例の鼻咽腔閉鎖機能の特徴を調べるために, 運動障害性構音障害10例, 口蓋裂20例, 健常20例の/a//i//pu//∫i/発話時の閉鎖動態を鼻咽腔ファイバースコープを用いて観察した.閉鎖のタイプは, 口蓋裂症例では4型, 運動障害性構音障害症例, 健常例では2型が認められ, 運動障害性構音障害症例は口蓋裂症例に比べて健常例に近い傾向が認められた.検査音による閉鎖段階の差では, 運動障害性構音障害症例, 口蓋裂症例ともに子音の方が母音より閉鎖が良好であった.母音内では運動障害性構音障害の方が口蓋裂症例よりばらつきが多く, 子音内では差が小さかった.全体的に運動障害性構音障害症例の方が検査音間の差が大きかった.また, 運動障害性構音障害症例のうち年齢が若く, 鼻咽腔ファイバー所見で軟口蓋, 咽頭側壁の動きがあることが確認された症例に咽頭弁形成術を行ったところ, 良好な結果を得た.

著者関連情報
© 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top