音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
ラダ行音の構音発達についての研究
大塚 登
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 38 巻 3 号 p. 243-249

詳細
抄録

幼児の構音発達において/r/は/s, dz, ts/とならんでもっとも獲得の遅れる音, /d/は比較的早期に獲得されるとされてきた.しかし, 小学校入学前後の子どもでは聴覚弁別能力の未発達により/r/と/d/の誤りは互いに密接に影響しあうため, 別個に考えるより同一の誤りととらえるべきこと, 構音の誤りが書字にもあらわれるという報告もなされている.本報告では書字検査をもちいて小学校1, 2年生におけるラダ行音の構音獲得の状態をしらべた.1年生では7月では7%+α, 9月では約6%, 2年生では4%の子どもがまだ構音確立していないという結果をえた.同時に, 構音確立したあるいは確立間近の群では検査語間の難易度により誤答率に差が生じたが, 確立していない群では一様だった.検査語間の難易度と誤答率の関係から, 構音発達の予測の可能性が示唆された.

著者関連情報
© 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top