音声言語医学
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スピーチエイド装着による鼻咽腔閉鎖機能の予備能形成
舘村 卓高 英保原 久永森本 知花平田 創一郎和田 健
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1997 年 38 巻 4 号 p. 337-343

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抄録

スピーチエイドの鼻咽腔閉鎖機能の改善に関わる生理学的背景を明らかにするために, Bulb-PLP (Bulb attached Palatal Lift Prosthesis) を装着している口蓋裂術後症例4例を対象に, 母音/〓/, 鼻音節/m〓/, 閉鎖性子音音節 (/p〓/, /s〓/, ts〓/) の表出ならびに口腔内圧を2, 4, 6, 8cmH2Oに保ったblowingおよび可及的最大blowingを標的活動として, 装着時・非装着時における口蓋帆挙筋活動を検討した.
装着時におけるblowing時筋活動は, 口腔内圧に対応して変化し, 発音時には健常者での語音ごとの筋活動の順序に近似するようになった.また, 発音時筋活動は, 実験を通じて得られた筋活動の最大値によって規定された全筋活動領域の40%以下の低い領域に分布し, 健常者同様の鼻咽腔閉鎖機能の予備能が形成されることが示唆された.

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