音声言語医学
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摂食・嚥下障害と言語治療
清水 充子
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1997 年 38 巻 4 号 p. 370-376

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抄録

言語治療士が摂食・嚥下障害のリハビリテーションに携わる意義を述べた.摂食・嚥下障害は中枢・末梢の問願に起因し, 多くの場合コミュニケーションの問題を併せ持っている.言語治療士は, 摂食・嚥下の機構に関する器官の解剖生理に詳しく, 発達・認知・心理的背景など高次脳機能的な側面との関連を踏まえて, 訓練プログラムを立案, 実行できる立場にあると考えられる.米国ではこうした観点から, STによるアプローチが1980年代以降活発にぐ展開されている.続いて諸外国でもアプローチを進める動きがみえている.わが国でのアプローチ1例として, 埼玉県総合リハビリテーションセンターでの摂食・嚥下障害へのアプローチを示した.過去2年間にSTに評価・訓練の依頼を受けた新規入院患者295例のうち, 54%に評価あるいは評価後訓練を行った.また, 外傷性脳損傷による慢性期重度嚥下障害の1例に対する約1年間の訓練経過を報告した.

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© 日本音声言語医学会
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