音声言語医学
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嚥下障害の外科的治療
―構音機能障害を伴う症例を中心に―
田山 二朗
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1997 年 38 巻 4 号 p. 377-384

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抄録

嚥下障害のなかから構音機能障害を合併している嚥下障害に対する手術治療を中心に述べた.
手術治療の目的は, 誤嚥を防ぎ可能な限りの経口摂食を可能とすることであるが, 失われた機能を補助する手術的治療にも限界がある.嚥下障害がひどい場合には, 誤嚥を完全に防ぐ目的に気道と食道の分離を試みる手術療法が施行されることもある.
嚥下障害の手術治療を決定する上では, 食道透視検査・嚥下圧検査・筋電図検査などによる十分な嚥下機能の評価が必要である.さらに, 治療法の選択において, 基礎疾患, 年齢, 嚥下障害の進行, 患者の希望, 生活様式や看護の状況なども考慮に入れる必要がある.手術のみで嚥下障害が完全に消失すると考えることは早計であり, 術後のリハビリテーションも重要である.

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