音声言語医学
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超低出生体重児と正期産健常児の5歳時における言語能力
―言語検査と自発話分析による検討―
大伴 潔若葉 陽子奈良 隆寛
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1998 年 39 巻 1 号 p. 24-33

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抄録

生下時体重1, 000g未満の超低出生体重児9名と正期産児7名の5歳時の言語能力を, 言語発達検査 (ITPA言語学習能力診断検査) と発話分析の2側面から明らかにするとともに, 発話の文法的複雑性が言語発達検査の成績とどのように関連するかについて検討を行った.発話分析については, 1) 遊具設定自由遊び場面と, 2) 連続絵説明課題において発話サンプルを収集し, MLU, および, 一発話あたりの平均自立語数を求めた.重文・複文構造が多く使われた連続絵説明課題における発話に対しては, T-unit (Hunt, 1965) を分析単位とした.分析の結果, 言語検査の成績, 発話の文法的複雑性ともに低出生体重児群では低い傾向がみられることが明らかになった.さらに, MLUなどの発話の文法的複雑性指標は言語検査に基づく言語発達段階と相関することが示された.これらのことから, 今回行ったような発話分析は言語能力の評価において有用であると考えられる.

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© 日本音声言語医学会
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