音声言語医学
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側音化構音の構音動態の観察
―超音波断層法による観察―
阿部 雅子石毛 美代子森 浩一新美 成二
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1998 年 39 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

側音化構音を有する4症例の構音動態について, 超音波断層法により側音化構音時の舌の後方の動きを前額面にて観察した.その結果, 舌の後方の動きは音産生に先立ちまず舌全体が挙上する.そして, 破裂音や破擦音の産生時には呼気の流出する側の舌縁が急速に下がること, 摩擦音の時にはやや下がることが観察された.この舌縁の動きは, 正常な破裂音や摩擦音をつくる時の構音点における舌の動きと同様であった.また, ダイナミックパラトグラフにて舌の前方と硬口蓋の接触状況を観察したが, 接触パタンには差があるものの, 音産生時には舌は硬口蓋に接したままであることが観察された.
以上の結果から, 側音化構音の構音点は, 呼気が流出する側の舌の後方の舌縁にあり, そこでつくられた音声および呼気は頬部と歯列の間を通って出るものと考えられた.

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