音声言語医学
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口蓋裂児の構音発達―音韻プロセス分析による検討―
岡崎 恵子大澤 富美子加藤 正子
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1998 年 39 巻 2 号 p. 202-209

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抄録

口蓋裂児の構音発達の過程を, 音韻プロセス分析を用いて分析し, 健常児と比較した.対象とした口蓋裂児は片側唇顎口蓋裂20例で, 正常構音習得まで定期的な言語評価を行っている.全例, 術後の鼻咽腔閉鎖機能は良好であり, 訓練を受けずに正常構音を獲得している.対照の健常児は2~6歳, 各年齢20例で100例を対象とした.
25単語の構音検査を行い, 誤り音を14の音韻プロセスに分類した.その結果、 (1) 音韻プロセスの出現数は, 口蓋裂児群の方が健常児群より多かったが, 両群とも6歳でほぼ消失した. (2) 両群とも硬口蓋音化のプロセスの出現が最も多かったが, 口蓋裂児群の方が遅れて消失する傾向がみられた. (3) 口蓋裂児群では健常児群にみられない後方化のプロセスがみられた. (4) 口蓋裂児群では破裂音化のプロセスは遅れて出現した.
以上の結果から, 口蓋裂児の構音発達には遅れがあり, その過程で特徴的な音韻プロセスがみられることがわかった.

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