音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
仮名と漢字に特異的な読み書き障害を示した学習障害児の仮名書字訓練
金子 真人宇野 彰春原 則子加我 牧子
著者情報
キーワード: 学習障害, 仮名, 訓練, 五十音表
ジャーナル フリー

1998 年 39 巻 3 号 p. 274-278

詳細
抄録

仮名と漢字に特異的な読み書き障害を示す学習障害児1例に関して, 五十音表を積極的に活用する訓練を行った.その結果, 仮名の読み書き障害に改善が得られたと思われたのでその訓練経過について報告した.本例は約1年間, 家庭と学校で仮名1文字の読み書きを学習したが習得できなかった.訓練は五十音表の写字と五十音表の自発書字, および絵の名前の自発書字を行った.訓練開始後仮名1文字の書字成績と五十音表の書字正答率が2ヵ月以内に有意に上昇し, 五十音表の書字所要時間の短縮と各行の書字開始までの反応時間の減少を認めたことから, 五十音表を積極的に活用することで仮名書字が正確で早く学習されたと考えた.また, 仮名1文字と音とを直接一対一対応させる学習方法よりも五十音表を用いた迂回路を活用する方法の方が本症例にとって有効であったと考えられた.

著者関連情報
© 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top