音声言語医学
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文理解ストラテジーと認知機能について (1)
―精神遅滞児の場合―
喜舎場 国夫
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1998 年 39 巻 4 号 p. 378-382

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抄録

精神遅滞児の場合, 能動文に適用される意味ストラテジー, 語順ストラテジー, 助詞ストラテジーがPiagetが示した思考発達のどの段階において習得されるかを, 数の保存課題を用いて検討した.対象児は39名で, 暦年齢は3歳5ヵ月から15歳5ヵ月 (平均10歳2ヵ月) , 精神年齢は1歳6ヵ月から7歳9ヵ月 (平均3歳7ヵ月) , 知能指数は8から73 (中央値42) であった.刺激文に対して動物のミニチュアを動かす動作法によって対象児が使用する文理解ストラテジーを判定した.その結果, これら3形式の文理解ストラテジーは前操作的知能の時期において習得が可能であることを確認した.さらに, 受動文が理解されるためには思考の発達が具体的操作の時期に達し, かつ脱中心化が獲得される必要があると考えた.

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