音声言語医学
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言語発達遅滞型吃音幼児の診断・治療過程
―U仮説に基づいて―
早坂 菊子小林 宏明
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1998 年 39 巻 4 号 p. 388-395

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抄録

言語発達遅滞を既往歴に持ち, 治療時にも約1年相当の言語の遅れを持った3歳の吃音児に発吃直後に治療指導を行った.治療は言語発達の促進, 内面因子 (パーソナリティー) の変容を中心に行った.幼児吃音の類型化診断ではU4-A2と診断され, 予後は悪いことが予測された.しかし発吃直後ということもあり, また, 内面因子の神経学的問題にもプレイの内容を考慮して行ったことや, 言語発達の促進が順調であったことなどで, 治療開始後2年後の吃音症状は消失した.言語発達は文節数の長さで測定された.文節数が長くなればなるほど発語があいまいになるので, 臨床上みられるほどには, データー上の変化はみられなかった.しかし周囲の人と言語でコミュニケーションする力もつき, パーソナリティーの弱さ (対人的過敏性) も減少し, 安定して幼稚園生活をおくれるようになった.

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© 日本音声言語医学会
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