音声言語医学
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右麻痺失語症者のWAIS-R動作性検査に関する検討
飯田 悦子宇野 彰加我 君孝中城 みな子
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キーワード: 失語症, 失行症, 巧緻性
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1999 年 40 巻 3 号 p. 227-233

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抄録

本研究の目的は, 右上肢の運動麻痺を伴う右利き失語症者が非利き手で操作したWAIS-R動作性検査の特徴を探ることである.対象は右利き健常者, 右利き麻痺を伴う失語症者各16名.初めに, 右利き健常者のWAIS-R動作性検査の使用手を制限しない通常の条件と左手操作条件の結果を比べ, 次に, 上肢の巧緻動作が反映されない検査であるRaven色彩マトリックス検査 (RCPM) とWAIS-R動作性検査について失語症者と健常者の左手操作を比較した.その結果, 健常者においては通常の条件に比べ左手操作条件では「符合」「組合せ」の評価点, およびPIQが有意に低いことが明らかとなった.失語症者のWAIS-R動作性検査では健常者の左手操作に比して, すべての下位項目で有意に得点が低下していた.健常者に比べて右麻痺を伴う失語症者のWAIS-R動作性検査結果が低下する要因として, 失行症状, 一般の高次運動機能検査では検出できないような巧緻性の低下などが示唆された.

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© 日本音声言語医学会
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