音声言語医学
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口蓋化構音を認めた口蓋裂児の構音発達―音韻プロセス分析による検討―
岡崎 恵子大澤 富美子加藤 正子今富 摂子出世 富久子
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1999 年 40 巻 4 号 p. 357-363

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抄録

口蓋化構音を認めた口蓋裂児 (口蓋化構音群) の2~5歳の構音発達の過程にみられた構音の誤りを音韻プロセスによって分析し, 正常構音を習得した口蓋裂児 (正常構音群) と比較した.いずれも片側唇顎口蓋裂で, 口蓋裂の手術は1~1歳6ヵ月の間に行い, 術後の鼻咽腔閉鎖機能は良好, 精神遅滞, 聴力障害のないものとした.
25単語の構音検査を行い, 誤り音を14の音韻プロセスによって分類した.その結果, 1.正常構音群と比較して口蓋化構音群は音の誤りは多いが, 音韻プロセスの該当率が低く, 加齢に伴って該当率が低下した.2.口蓋化構音群は正常構音群と比較して, 硬口蓋音化のプロセスが少なく, 後方化のプロセスが多かった.
以上の結果から, 誤り音における音韻プロセスの該当率が低く, 後方化のプロセスを示す場合は, 口蓋化構音へ移行する可能性が高いので, 慎重な経過観察が必要である.

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