音声言語医学
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口腔内原音発生振動子を用いた無喉頭者の発声システムの開発とそれの代用原音を口腔内圧で制御する試み
高橋 宏知中尾 政之大草 武徳畑村 洋太郎菊地 彌太郎加我 君孝
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2000 年 41 巻 2 号 p. 130-138

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抄録

本論文では, 著者らが「口腔内原音発生振動子」を用いた無喉頭者の発声システムを提案, 試作, 評価をして得た知見を報告する.本システムでは, 上顎に固定する義歯に振動子を埋め込み, その振動子で生成した音を喉頭原音の代用音として用いる.口腔内原音発生振動子と電気式人工喉頭とを用いて, CV音節を患者に発声させ, それを第三者に聴取させるテストを行った.両者とも正答率は50%弱と相違はなく, 両者とも無声音を有声音に異聴する誤答率が約30%と顕著であることがわかった.さらに, この異聴の原因を検討した結果, 無声子音発声時のVOTと第一フォルマントの遷移時間の影響が大きいことがわかった.無声子音の明瞭度を改善するために, 発話中の口腔内圧の上昇から無声子音部を検出して, その部分では振動子を一時停止する制御を試みた.その結果, 無声音を有声音と異聴する誤答率が約10%と小さくなり, 本制御方法が有効であることを示した.

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© 日本音声言語医学会
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