音声言語医学
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重度吃音児童の治療過程
―直接法と間接法の統合から―
早坂 菊子小林 宏明
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2000 年 41 巻 3 号 p. 237-242

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抄録

われわれは重度吃音児に, 吃り方の操作とともに吃音を恐れない態度の育成を獲得させるための治療を行い, 一定の成果を得た.発吃は2歳10ヵ月で, インテーク年齢は6歳7ヵ月であった.その間に祖父, 両親の干渉もあり, 吃音は悪化していった.言語症状はブロックが大半で, 随伴症状も目だっていた.また吃音を隠そうとする態度が強かった.
本児は過敏性が強く, 両親, 姉からの圧力が強く, 萎縮していた.こうした環境や本人の性格改造のために, 母親へのカウンセリング, ガイダンス, 子どもへはプレイセラピーを行った.心理症状が改善する兆しがみえた段階で, 吃音への直接法を入れ, 楽に吃る方法の習得をめざした.その結果, 軽い繰り返しで話すようになり, また吃音への悩みを親に話せるようになっていった.

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© 日本音声言語医学会
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