音声言語医学
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甲状軟骨形成術I型
田辺 正博田中 信三箕山 学
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2000 年 41 巻 3 号 p. 272-275

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抄録

片側反回神経麻痺症例で甲状軟骨形成術1型の適応症例は発声時の声門閉鎖不全の程度が中等度以下の症例とされている.I型の適応を拡大するために術式に改変を加えた.声門後部の間隙に対応するため, 甲状軟骨の開窓部位を約3mm後方へずらした.さらに声門閉鎖不全の程度に応じて, 大きいシリコンブロックをいれるための内軟骨膜の処理法を検討した.内軟骨膜を切開すると麻痺声帯は十分に内転するが, やや硬い感じの声になった.内軟骨膜を甲状軟骨後縁まで剥離する方法では結果は良好であるが, 手術侵襲がやや大きい.開窓部の周囲の内軟骨膜を十分に剥離することで, 大部分の症例に対応できるが, 声門間隙の極端に大きい例には披裂軟骨内転術も必要である.

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