音声言語医学
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声帯注射
森 一功梅野 博仁千々和 圭一菊池 淳高瀬 武一郎
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2000 年 41 巻 3 号 p. 283-289

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抄録

1983年から1998年末までに当院で経皮的シリコン注入を施行した325例について, 安全性, 治療成績, 治療成績に影響を及ぼす因子について検討した.
その結果, シリコン注入により音声は劇的に改善し, 長期的にも年余にわたって安定していること, 安全であり, 再注入によっても良好な結果が得られることが再確認された.
また, 性別, 麻痺側, 病悩期間, 筋電図所見, 声帯固定位置, 誤嚥の程度, 注入シリコンの量, 麻痺側声帯の弓状変化の8項目は治療成績に影響しないことがわかった.そして, シリコン注入の良い適応は, 1) 頸部疾患による若年者の麻痺例, 2) 両側声帯突起問距離が声帯膜様部長の10%未満, 3) MPTが3秒以上, 4) MFRcが400 ml/sec以下, の場合のいずれかであると考えられた.

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