音声言語医学
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親による聴覚障害児の聞こえと音声表出の評価
中川 辰雄
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2001 年 42 巻 2 号 p. 137-144

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抄録

人工内耳手術をするに当たって, 専門家のアドバイスは重要であるが, それを受けて最終的に人工内耳手術を子どもに決断するのは保護者である.親が補聴器から人工内耳に興味を持ち, やがてその中から一部は実際に人工内耳手術を受けることを決意する.その過程にはどのような要因が関係しているのであろうか.研究1では, 聴力正常で子どもの平均聴力レベルが90dBよりも大きい57名の保護者を対象に, 親の人工内耳手術に対する興味の有無と, 子どもの聞き取りや音声の表出に関する評価との関連性を質問紙法により検討した.研究IIでは, 子どもがすでに人工内耳手術を受けた16名の親を対象に, 同様な調査を行い術前と術後の比較を通して, 人工内耳の聞き取りや音声の表出に及ぼす効果を検討した.研究IとIIを通して, 親を補聴器から人工内耳手術に決断させる要因と, 親を対象にした子どもの聴取能力や音声の表出能力の評価の有効性について考察した.

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© 日本音声言語医学会
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