音声言語医学
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帝京大学病院における人工内耳装用児の実態
工藤 多賀斎藤 宏小寺 一興
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2001 年 42 巻 3 号 p. 250-256

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抄録

当院で就学前に人工内耳埋め込み術を受け, 術後2年以上経過している中途失聴の小児7例において, 語音聴取能 (57s語表による語音明瞭度検査) や口話でのコミュニケーションカ (聴覚+読話でのWISC-R知能検査のVIQ) の発達を継時的に観察した.さらに, 人工内耳装用児の保護者にアンケート調査を行い, 人工内耳装用児の学校生活への適応状況について検討して, 以下の結果を得た.1.就学時の聴覚認知や聴覚音声でのコミュニケーションカが不十分な症例は, 学校適応が不良となった.2.術後2年以上経過した調査時点においても, 人工内耳装用児の語音明瞭度は補聴器装用の中等度~高度難聴児の明瞭度に相当していた.3.普通学級において, 人工内耳装用児に対する視覚情報を活用した配慮は少なかった.
以上より, 人工内耳装用児に対して, 就学前からの一貫した難聴児教育と治療機関や教育機関のさらなる連携が必要と考えた.

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