本研究は特異的言語発達遅滞児の予後に影響を及ぼす因子を明らかにするために行われた.対象は1988年から1999年までの間に当科言語治療室で特異的言語発達遅滞と診断した134例で, これらを言語理解の発達が良好か否かを基準に, 発語遅滞群と言語理解遅滞群の2つのサブタイプに分類した.2群の改善率をカプランマイヤー法どログランク検定で比較すると, 各時点および追跡期間全体で両群間に有意差を認め, 発語遅滞群は言語理解遅滞群よりも有意に予後が良好であった.どのような臨床的要因が改善に交絡しているかを調べるために, コックス比例ハザード回帰モデルを用いて検討したところ性別, 発語および言語理解の3つの因子が関与していた.なかでも言語理解は予後を左右する最も重要な因子であったことから, 臨床的に言語理解の発達を基準に特異的言語発達遅滞を2つのサブタイプに分類することは, 予後の予測に有用であると結論した.