音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
痙攣性発声障害の成因と症状
村野 恵美
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 42 巻 4 号 p. 326-331

詳細
抄録

痙攣性発声障害は原因不明のまれな神経疾患である.多くの場合, 診断は音声の聴覚的評価から容易に可能であるが診断の誤りを避けるためにはいくつかの注意を払わねばならない点がある.本論文は3部からなる.第1部ではSDに関する最初の報告, 定義さらに音声障害の専門家の見解がどのように変化してきたかなど, この疾患に関わる歴史的背景を概説した.第2部では, 適切な診断のために, 専門家にとって最も重要な方法について述べた.音声の聴覚的印象評価はSDの診断における有力な手がかりには違いないが, この他に考慮しなければならない二つの側面がある.一つは, 特定の発声課題時に観察される喉頭の異常運動であり, もう一つは同じ様の音声症状を呈する他の患者との鑑別診断のための詳細な問診である.第3部では鑑別が必要な主な疾患について述べた.

著者関連情報
© 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top