音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
Botulinum Toxinによる治療
熊田 政信村野 恵美小林 武夫
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 42 巻 4 号 p. 355-361

詳細
抄録

内転型の痙攣性発声障害の治療法としてわれわれはBotulinum Toxin (BT) 甲状披裂筋内注入術を主に用いている.その理由は, 自覚的にも他覚的にもよく効くこと, 侵襲性が少ないこと, 副作用が軽微であることなどである.BT (A型) はClostridium botulinum (ボツリヌス菌) の産生する神経毒で, 神経筋接合部に作用し一時的な麻痺をもたらす.効果の持続は平均約3ヵ月であるが1年以上効果が持続する例もみられるのは注目に値する.副作用としては気息性嗄声と誤嚥があるが, これらは長くても2週間以内には消失する.注射法としては, 主に前頸部からの経皮的注入法により, 筋電図ガイド下に行う.23ゲージ注射針を用いるが, 先端部分以外が絶縁コーティングされた特別仕様であり, 同時に筋電図の電極となる.初回注射は片側2.5単位とし, 効果が過不足する場合他のオプション (両側2.5単位ずつ, 片側5単位, 両側5単位など) への移行を考える.

著者関連情報
© 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top