音声言語医学
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痙攣性発声障害患者の抱える問題
中西 由佳
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2001 年 42 巻 4 号 p. 369-374

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抄録

ボツリヌストキシン治療を受けたことのある痙攣性発声障害患者 (SD) を対象に, 平成12年2月21日~平成12年4月6日にアンケート調査を実施した.調査の目的は, 患者がSDと診断されるまでの経緯と患者の社会生活の実態を把握することであった.調査対象35名のうち, 有効な回答は28例 (対象総数の80%) であった.
調査結果から, SD患者はSDと診断を受けるまでに複数の病院を受診する必要があったことがわかった.さらにSD患者は発症したことによってコミュニケーション活動を抑制する傾向にあることもわかった.
回答をよせたSD患者の意見を集約すると, SDの早期診断の重要性と社会的認知の必要性を求めるものが主なものであった.しかし現状でのSD診断は不確実なものであり, その治療施設は少なく, 治療機会は限られている.また, 診断後の患者への対応にも検討すべき点が明らかとなった.

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