音声言語医学
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前言語期における健聴児と先天性高度難聴児の音声の発達に関連する因子の統計学的研究
―音響分析によるフォローアップ研究 (1) ―
黄 麗輝加我 君孝今泉 敏新美 成二汪 濤
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2002 年 43 巻 2 号 p. 125-133

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抄録

健聴児13名, 先天性高度難聴児17名を対象として, 前言語期における過渡的喃語, 標準的喃語, 指さし行動, 有意味語のそれぞれの出現頻度と出現月齢について, 音声の音響分析も含め, 比較検討を行い, 以下の結果を得た.
1) 過渡的喃語の, 出現頻度と出現月齢は, 健聴児と難聴児の間に有意な差は見られなかった.
2) 標準的喃語, 指さし行動と有意味語については, 難聴児では健聴児より, 出現頻度が低く, 出現月齢が著しく遅れ, 両者の間には高度に有意な差を認めた.
3) 音声の音響分析では, 健聴児の発声は豊かなイントネーションを伴い, フォルマントの分化が良好であるが, 難聴児の発声はイントネーションが乏しく, 唇音化と鼻音化の傾向があることが特徴であった.
以上の結果から, 健聴児と難聴児の音声の発達の違いは標準的喃語の時期から出現することが示された.難聴児の早期発見, 早期聴能教育にあたっては, 喃語の種類とその出現年齢についての正しい認識が必要であることを強調したい.

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© 日本音声言語医学会
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