音声言語医学
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健常幼児の格助詞と態の表出
―構文検査 (斉藤私案) を使用して―
斉藤 佐和子
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2002 年 43 巻 2 号 p. 173-181

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抄録

健常幼児の日本語文法形態素表出のデータを得るため, 独自に構文検査を考案し, 検査した.3歳6ヵ月から6歳11ヵ月までの学齢前の幼児140名を対象とした.小池 (1994, 1997) の日本語文法の考え方に従い, 格助詞6種 (主格「が」, 対象格「を」, 場所格「で」, 付着格「に」, 起点格「から」, 道具・手段格「で」) と態2種 (受動態, 使役態) を検査した結果, 主格を5歳前半, 場所格, 付着格, 起点格, 道具・手段格を6歳前半に習得していた.対象格は6歳後半でも半数しか習得していなかった.受動態, 使役態は6歳前半で習得していた.今後構文検査を改善するに際して, 各文法形態素で発達時期が異なること, 検査文の親和度が検査の正否に関係することを念頭におく必要性が示唆された.

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© 日本音声言語医学会
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