音声言語医学
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大脳可塑性と側性化の時期
―小児失語症からの検討―
宇野 彰新貝 尚子狐塚 順子坂本 和哉春原 則子金子 真人加我 牧子
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2002 年 43 巻 2 号 p. 207-212

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抄録

小児失語の伝統的臨床像は病巣がどこであれ錯語や新造語がなく非流暢発話であり, 回復が大きく場合によっては完全に回復する, とされてきた.本研究では, 主に脳血管障害により側頭, 頭頂葉に限局病巣を有する流暢型小児失語症6例を対象に, 失語症の症状, 改善到達度, 責任病巣を検討した.その結果, 40歳以上発症例と比べて改善到達度が大きかった.15歳から27歳までの発症例とほぼ同様であった.しかし, その到達度には限界があり, 文の復唱や漢字の書字などの項目で有意な得点の低下が認められた.全例左大脳半球損傷によって失語症が発症していること, もっとも若い小児失語症例は2歳台での発症が推定されることから左大脳半球での言語優位性は2歳台ですでに認められるのではないかと思われた.

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© 日本音声言語医学会
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