音声言語医学
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言語発達検査における「視て理解」の意義
―言語発達遅滞3症例から―
山路 めぐみ
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2002 年 43 巻 3 号 p. 238-246

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抄録

文字など視覚的な手掛かりを用いて発語が可能になった言語発達遅滞の3症例について, 言語様式別発達表の結果と5~6歳に実施したITPA言語学習能力診断検査の結果との関連を検討し, 言語発達検査における「視て理解」の意義について考察を加えた.3症例の2~4歳に実施した言語様式別発達は「聴いて理解」に比べ「視て理解」は発達段階が高い傾向にあった.5~6歳時に実施したITPAでは, 3症例の構成能力, 2症例の連合能力, 1症例の受容能力の課題で視覚優位の傾向が認められ, 言語様式別発達表に現われた「視て理解」が「聴いて理解」に比べて発達している傾向と関連するものと考えられた.言語発達を出生直後から言語様式別にとらえ, 言語発達検査には「聴いて理解」「話す」に加えて「視て理解」という下位検査を加えて評価していきたい.

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