音声言語医学
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音韻障害を併せもつ吃音児の協調運動発達 (2)
―新規な運動の表出能力の検討―
小林 宏明早坂 菊子
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2002 年 43 巻 3 号 p. 247-255

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抄録

吃音と音韻障害を併せもつ吃音児 (音韻障害吃音児) , 音韻障害をもたない吃音児 (非音韻障害吃音児) , 吃音も音韻障害ももたない児 (非音韻障害非吃音児) 各27名ずつ計81名 (5歳6ヵ月~11歳5ヵ月) の, 手指を用いた新規な運動の表出能力について検討を加えた.課題は, ディスプレイに描かれた手型に示される, 新規な運動パターン (ボタン押しの順番) を, ブザー音の提示後ただちに手指を用いて再現するというものであった.課題は, 1試行で押すボタンの総数 (構成要素) が, 1から4までの計7種類から構成されていた.また, 分析の観点を, (a) 誤数 (付加型, 欠落・置換型) , (b) 反応時間, (c) 運動時間とした.その結果, 音韻障害吃音児に他の2群に比べて欠落・置換型の誤りが多い傾向が認められた.しかし, 反応時間および運動時間については, 3対象児群間に相違は認められなかった.以上の結果から, 音韻障害吃音児と他の2群間に新規な運動の表出能力に相違があることが示唆された.

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