音声言語医学
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頭頸部癌術後の構音の改善
熊倉 勇美
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2002 年 43 巻 3 号 p. 327-330

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抄録

わが国における頭頸部癌術後の構音障害とそのリハビリテーションに関するいくつかの研究を取り上げ紹介した.次に, これらの構音障害の特徴と言語聴覚士が行う訓練の目的, 方法などについて述べた.また頭頸部癌術後の構音の改善, つまり可塑性については, 以下の3点から説明できると考え解説を行った.1) 適切な再建手術によって欠損部が可及的に充填され, 健側舌の可動性が妨げられることなく, また, 外科治療や放射線治療後の発語器官の腫脹, 運動麻痺, 感覚障害などが軽減し, 構音に必要な可動性, 力, スピードなどを獲得すること.2) 発語器官の欠損, 変形, 瘢痕拘縮が残存するなかで, 一定の患者の知的能力や意欲をもとに, 新しい構音操作 (代償性構音など) やコミュニケーションの方法を学習すること.3) 必要に応じて, 舌接触補助床などの補綴治療が効果的に用いられること.

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© 日本音声言語医学会
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