音声言語医学
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声帯充填術の実際
田山 二朗
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2002 年 43 巻 4 号 p. 444-449

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抄録

声帯充填術は, 声帯萎縮に対する外科的治療法の一つで, 注入術としてはコラーゲンおよび自家脂肪が主に用いられ, 声帯溝症には筋膜も使用されている.コラーゲンは医療材料として供給されているため入手が簡単で, 注入方法が簡便でかつ多様に選択できることから, 臨床的には使いやすいが, 吸収率が高いという難点や, 異種蛋白 (ウシコラーゲン) であるためアレルギー反応などが問題となる.自家脂肪や自家筋膜は安全であるものの, 一方では採取の手間や侵襲, 手術手技の煩雑さなどの難点がある.また生体材料であるためある程度の吸収はおこり, 安定した手軽に利用できる材料であるとは言いがたい.実際の臨床においては, こういった各材料の特徴を考慮し, また病態に応じて選択利用しているのが現状であろう.現在の充填材料はまだ理想的なものとはいえず, 今後も最適な材料の開発が課題とされる.今回はコラーゲンを中心に実際の注入方法を紹介する.

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