音声言語医学
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劇遊びをとり入れた吃音児指導の試み
見上 昌睦
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2003 年 44 巻 2 号 p. 138-146

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抄録

吃音の意識があり重症度の高い6歳0ヵ月発吃の10歳女児1例に対して, 母親面接を通しての環境調整とともに, 劇遊びをとり入れて言語指導を試みた.劇遊びには本児, 母親, 妹, 指導者が参加し, 指導者作成の本児の日常生活に近い台本を音読する形で実施した.台本には吃音が抑制されやすい条件, たとえば斉読, 復唱, ゆっくり・ひき伸ばし気味の発話, 歌唱等に加え, 吃音症状生起率の低い言語機能であると報告されている擬態語, 擬声語, かけ声, 感情表出などをとり入れた.文の長さ・複雑さ, 吃音生起頻度の高い語音なども考慮に入れた.さらに, 動物等の動きに“ゆっくり”, “一定のテンポで”, “力を抜く”などをたとえて発話を促した.本指導の結果, 小学校卒業時までに吃音の改善にいたるとともに, 行動・心理面についても好転した.

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© 日本音声言語医学会
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