音声言語医学
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乳幼児の音声言語処理における左右聴覚野の発達
―近赤外分光法による検討―
佐藤 裕森 浩一古屋 泉林 良子皆川 泰代小泉 敏三
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2003 年 44 巻 3 号 p. 165-171

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抄録

乳児の音声言語刺激に対する聴覚野の発達的変化について音韻・抑揚処理の優位側に着目し, 多チャネル近赤外分光脳オキシメータを用いて測定した.音刺激には分析合成による音韻もしくは抑揚の異なる最小対 (/itta/と/itte/: 音韻対比, /itta/と/itta?/: 抑揚対比) を用いた.刺激提示は/itta/のみが提示される区間をべースライン, 対の両方を等確率でランダムに提示される区間を対比区間とし, べースラインに対して対比区間の総ヘモグロビンの最大変化量を指標として解析を行った.左右側頭部にて得られた総ヘモグロビン反応のピーク値を基に側化指数を算出し音韻と抑揚処理の左右差を検討した結果, 11~12ヵ月齢群以降で側化指数に有意差が見られた.これは成人や2~5歳の小児の結果と同様であり, 聴性の音声言語処理にかかわる脳活動の左右差が1歳直前に生じていることが示された.この手法は言語発達遅滞のリスクを有する乳幼児への検査法としての応用が期待される.

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