44 巻 (2003) 4 号 p. 283-291
脊髄小脳変性症, 脳幹梗塞等により失調性構音障害を呈した11例を対象に, 会話の聴覚印象評価およびoral diadochokinesis・標準偏差・変動係数による評価を延べ35回行った.一対比較法を用いて構音異常の程度について評価し, その結果を両評価間で比較検討したところ, 約60%の対で評価結果の不一致が認められた.oral diadochokinesis・標準偏差・変動係数による評価法には以下の問題点があるものと考えられる.1) 失調性構音障害例では, 構音動作の反復が遅い速度で安定し, 不規則性がむしろ小さくなる場合がある.2) oral diadochokinesisは音節反復の最大速度を評価する方法であり, 反復速度の変動を評価する条件は備えていない.3) 標準偏差を平均の絶対値で割って求める変動係数は, 反復速度が低下した症例で数値が小さくなり, 障害程度が軽く評価されやすい傾向がある.失調性構音障害の評価法に関して, 必要と思われる修正を提案した.