2004 年 45 巻 3 号 p. 187-191
本研究では, 口蓋形成術後良好な鼻咽腔閉鎖機能を獲得した片側性唇顎口蓋裂症例52例 (装着群23例, 非装着群29例) を対象として, 口蓋形成術前のHotz型口蓋床装着による異常構音発現の差を検討した.その結果, 装着の有無による異常構音発現率の有意差はなかった.鼻咽腔構音の発現と複数種類の異常構音の発現が, 非装着群に比べて装着群に有意に多く見られた.また, 口蓋化構音の発現は装着の有無による差はなく, 口蓋瘻孔の残存しない群に比べて残存する群に統計上有意に高い率で見られた.本研究の調査対象については, 口蓋形成術前のHotz型口蓋床装着は, 異常構音の発現を抑制しなかった.