音声言語医学
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ホルモン音声障害に対する音声冶療の経験
―声帯粘膜波動に注目して―
楠山 敏行藤本 裕一佐藤 麻美伊藤 朋子磯貝 豊新美 成二福田 宏之
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2005 年 46 巻 1 号 p. 16-20

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抄録

いわゆるホルモン音声障害は, 男性化作用のある薬剤を女性に投与した場合に発症する音声障害を指すもので, 声の男性化を主症状とする.男性ホルモン含有製剤とタンパク同化ステロイドが主たる原因薬剤とされ, 近年それらの適応範囲は拡大傾向にある.われわれは当センター開設後2年6ヵ月の問に8例のいわゆるホルモン音声障害を経験した.そのうち, 話声位, 声域ともに低音化している4例全例に, 喉頭ストロボスコピーにて声帯粘膜波動の消退を認めた.治療を希望した5例にvocal function exercisesを中心とした音声治療を施行し, 著明な改善を認めた.声帯粘膜波動の消退を認めた4例中, 原因薬剤を中止した3例で音声治療による声帯粘膜波動の回復を認めた.

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© 日本音声言語医学会
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